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2011年5月30日月曜日

ビジネスをその場所ではじめる理由は?





昨日は、ビジネスプランコンペのメンタリングへ行ってきました。
事前に出した事業計画書を元に、
フィードバックをもらってきました。

今まで中々答えられずにいた、


『なぜ、その場所でやるのか?』


という理由に関してアドバイスをもらったので、
メモ代わりにエントリー。



1, 【企画の具体化】自分たちの企画を固める

自分たちがやることを詰める。
なにをしたいのか。どういう問題を解決したいのか。
大前提として、そのあたりの答えを持っていないと企画が出来ない。


2.   【ターゲットの設定】どういう人たちか?

自分たちが対象にしたいのはどんな人なのか?
僕たちの場合だと、
「小学生の子どもがおり、週に2〜3日ほどパートで働くお母さん」


3. 【ターゲットの深掘り】彼らの趣味、悩みは?

ターゲットに関して、もっと深く考える。
彼ら、彼女たちはどこで生活しているのか?
どこに住んでいる?
一軒家?マンション?団地?
年収は?好きなテレビは?よく読む雑誌は?


4. 【場所のリサーチ】想定する人がいそうな場所は?

病児保育に関する事業をされているフローレンスの駒崎さんは、
”共働きの人たちは、マンションに住んでる。マンションが多い場所”
ということから、江東区という場所を選んだそうです。


まずは、自分たちで
「○○の数値が高いところ」というのを決める。
駒崎さんのように、”マンションが多いところ”のように。

小学生の人口が多い、年収が高い、地元の人が多い。。。。etc
いろいろな切り口があります。
その中で、自分たちがどこにフォーカスするかは
事前に決めないと、どこにすればいいのかわからなくなってしまいます。


僕たちの場合には、
【ターゲットの深掘り】が足りていないため、
【場所のリサーチ】をするための物差しがないので苦労していました。


僕たちのサービスを必要とする人、
僕たちが届けたい人はどう人たちなのかを
もっともっと具体化する必要があると言われました。







<〜心に残したい言葉〜>

”あいまいな問いをすれば、あいまいな答えが返ってくる”

”八尾市と行っても、具体的にどこ?地区によっても子どもたちが違うし、生活環境、家庭環境、地域環境は違う。どうしてそこでやるの?”

”親が持っているのは、子どもへの未来の希望。どうやってその希望を叶えるのか?”



2011年5月24日火曜日

学童とカフェが一緒になったガクカフェがある1日




小学4年生のまさるは、勉強が苦手で運動神経も良くない。
そんなにカッコいいというわけでもなく、
なにをしても可もなく不可もなくといった感じ。
当然、自分にも自信がない。



お母さんは、パートで週に3回、近くのスーパーで働いてる。
いつも帰ってくるのは19時過ぎ。
シフトの関係で遅いときは21時をまわるときもある。
夕方までは友達と遊び、家へ帰る。
時計は、18時を指そうとしている。
1人っ子で、お父さんが帰ってくるのも遅いのでいつもこの時間は一人だ。
漫画を読んだり、ゲームをして過ごす。
宿題をしないと怒られるけど、お母さんが帰ってくるまでに終わってたことはない。
やる気を出すのは難しい。
最近、近くにおもしろい学童
(学童とカフェで『ガクカフェ』なんだって)が出来たらしい。
夜ご飯もそこで食べることができると言う。
「行ってみる?」とお母さんが聞くので、
「うん」と答えた。



初日。
学校が終わって、”ガクカフェ”へ行った。
玄関を開けると
そこには、子どもが20人くらい。
大人が7~8人ほどいた。
まさるは、極度の人見知り。
お母さんと一緒に買い物に行って、
近所の人とばったり会ったときも
うつむきながら小さな声で挨拶をするのが精一杯。
いつも「キチンと挨拶しなさい」と怒られる。
でも、恥ずかしいものは仕方がないとまさるは思う。
そんなまさるだから、
ドキドキしながら中へ足を踏み入れた。
すると大学生のお兄ちゃんが声をかけてきてくれた。


「こんにちは。まさるくんかな?」
どうしてわかるんだ!?とドギマギしながらも
「はい」と、か細い声で答えた。
中は、キッチンと和室が2つあった。(敷居を取っ払って1つの部屋になっていた)
20人ほどが食事出来る長い机があり、
和室では、勉強をしたり、遊んでる子どもたちがいる。
お兄ちゃんは、(「カズ」って呼んでね!と言ってた)
「簡単に案内するね」と言って、設備やルールを教えてくれた。
ルールは、2つ。
・人に迷惑をかけない
・自分で決めたことは守る
以上。



食事の時間は決まっていて、そのときはみんなで
買い出しに行ったり、調理をするそうだ。
そのほかの時間は、
他の子の迷惑にならなければ、なにをしても自由らしい。
一通りの説明が終わると、
「じゃあ、あとは好きにしてね。わからないことがあったら何でも聞いてね。
あのおじさんと、おばあちゃんもここのこと詳しいからあの人たちに聞いてもいいし」
そう言うと、他の子どもたちのほうへお兄ちゃんは去っていった。










1人にされて思案に暮れていると、
高学年の男の子が声をかけてきた。(学校で見たことがある!)
「大富豪やるねんけど、一緒にせえへん?」
【※1 気軽に声をかけてくれる雰囲気】
一瞬戸惑ったけど、
「うんっ!」とまさるは自分で驚くくらい大きな声で返事をしていた。
まさるは、今まで年上の人と話したことがあまりない。
サッカークラブに入ってる友達は、先輩がいるって言っていたけれど
僕は、’先輩’というのがどういうものかもわからない。
大富豪は、まさるを含めて5人で遊んだ。
初めは緊張していたまさるだったけれど、やっていくうちに溶け込むことが出来た。
まさるを誘ってくれた子は、ゆうじと名乗り、6年生だと言った。
他に一緒にやっていたのは、
ゆうじ以外は、最近ここに来るようになったそうだ。
さちこ(2年)、ゆうま(5年)、しょう(3年)だとわかった。
【※2 違う学年と触れあう機会】





遊んでいるうちに、ご飯の時間が近づいてきた。
そういえば、お腹がグーグーなっている。
買い出し班、調理班、準備班などに分かれるみたい。
別に、なにもしたくなかったり、
宿題が残っているのならそっちをやっていても良いという。


【※3 やらせる環境ではなく、自分で選択して行動をおこす環境】


ゆうじが「俺は、買い出しに行く」と言うので
まさるも付いていくことにした。
買い出しには、カズ君が付いてきてくれた。
みんなで今日のメニューを相談し、親子丼ときつねうどんに決まっていた。


【※4 みんなで決める環境】


歩いて5分ほどの商店街で買い出し。
お肉屋で、「これは、少し高いからこっちの肉でいいんちゃうかな」
なんて、主婦みたいにゆうじが話しているのを聞いてまさるは思わず吹き出した。
ゆうじの活躍もあり、予算を切る値段で買い物が出来た。
カフェへ戻ると、近所のおばちゃんがいた。
(中島さんだとカズくんが教えてくれた)
中島さんは、きんぴらごぼうとひじきをタッパに入れて持ってきていた。
キッチンを見ると、子どもたちがわいわいやりながら料理をしていた。
まさるは、家でお母さんが食事を作っているのを見ているだけで、
手伝ったことはあまりない。
そのことをゆうじに告げると、
「あ~、あそこで鍋持っているまさみも来たときそうやって言うてたで!
ちなみに、まさると同じ4年やわー」
そう言われて彼女を見ると、みんなを仕切ってテキパキと働いていた。
まだ、ここへ来て4ヶ月らしい。
まさるは、
「僕も、半年後にはあんな感じでデキる雰囲気が出せるのかなぁ」
なんて少し期待が持てた。
【※5 自分と(能力や才能が)同じだと思え、目標に出来る友達がいる環境】




食事の時間になると、
サラリーマンのおっちゃんや大学生の人たちも何人か来た。
みんなで1つのテーブルで一緒に「いただきます」をした。
まさるは、普段お父さん含めても3人での食事。
こんなに大勢で食べることなんて、ほとんどない。
まだ、緊張はするけどなんかすごい楽しい。
中島さんのきんぴらごぼうもとてもおいしかった。
(イオンのとは全然違うかった!)
全員で「ごちそうさま」をすると、みんなで後片付け。
なんか、みんなすごい慌ててて
「どうしたの?」と聞くの、
「タイムを計っているの!昨日は、18分38秒かかったんだけど今日はその記録を超そうねってみんなで言ってるの」
と、まさみは答えてくれた。
まさるは、
家で「お皿洗うくらい手伝ってよ」とお母さんに言われて嫌々ながらやっている。
でも、ここの子たちはすごく楽しそうにやっている。
まるでゲームのように笑いながら。

【※6 たとえ雑用のようなことでも、楽しみながら主体的に取り組む】









片付けが終わると、隣の部屋へ。
食事前と同じように、みんな自由に過ごしている。
ゆうじは、「宿題多いわぁ」なんて言いながら、
ランドセルから漢字ドリルを出していた。
仕方ないので、
まさるも、学校で出された計算ドリルの宿題をすることにした。
いつもお母さんに「宿題したのー」と怒られながら
しぶしぶやっているまさるからしたら、
愚痴を言いながらも、自発的に宿題をしているゆうじがすごいなと思った。
「えらいね」とゆうじに言うと、
「いや、自分で決めたからなぁ」とつぶやいた。

どういうことかと聞いてみると、
どうやらこういうことみたい。

ゆうじによると、
ここへ来たときに日記帳に”今日すること”を書くのだそう。
そして、帰る際にそれが出来たかどうかを自分でチェックする。
そこには、スタッフの人や近所のおばちゃんなど、
その日関わってくれた人たちのコメントも入る。


【※7 自分でやることを決めるためのシステムとフィードバックがもらえる仕組み】


はじめは、ゆうじも書いたことが全然出来なかったらしい。
けど、「自分で決めたのにできひんかったらなんかダサいし、嫌やん?」
ということで、次第に出来るようになったという。
「それにさー」ゆうじが二枚目な顔で言葉を続けた。
「誰にも言われてないのに、宿題やるってなんかカッコいいやん。
しかも、1ヶ月前とか2ヶ月前とかの日記帳を見てると
今まで自分がやった宿題とか勉強も残ってるから、
『なんか俺、めっちゃがんばってるやん?』なんて思うてまうねん。
これ見ると自信出るねん」


【※8 自分がしたことを残すことにより、自信を育む】


それを聞くとまさるは、カズくんのところへ行って
自分用のノートを作ってもらった。
そして、「計算ドリル 46~48」と書いて宿題に取りかかった。
さっき料理で仕切っていたまさみちゃんもそうだし、
ゆうじにしてもすごいしっかりしている。
まさるは、今まで自分に自信が持てなかった。
得意なこともないし、いつもお母さんに怒られてばかり。
でも、ここの子たちはみんな自分で決めて、自分で行動している。
食事の準備、片付け、宿題。
今まで、”やらされる”ものだったことが
まるで”楽しいこと”のようにみんなこなしている。
ここにいるとまさるもそんなデキる人になれそうな気がした。
まだまだなにも出来ないけど、ゆうじのようにテキパキこなす人になりたいな。
そんなことをまさるは、宿題が終わってから考えた。







まさるがここに来て、もう1ヶ月。
だいぶ慣れてきた。
最近では、2年生や3年生の子に勉強を教えたりもしている。
【※9 頼りにされることにより、自己需要感覚(必要とされているという感覚)を育む】




ここによく来る大人の人とも少しずつだけど話すことが出来てきた。
(自分から話すっていうより、向こうから声かけてくれるだけではあるけど)
「しすてむえんじにあ」という仕事をしている馬淵さんは、
いつもパソコンで作業している。
ゆうじなんて、いつも興味津々で
「邪魔したらあかんよ」と、カズくんに叱られている。


食事のときに、馬淵さんがまさるに声をかけてきた。
「この前の算数のテストどうやった?」
先日、馬淵さんが算数の宿題を見てくれて
「今度、テストなんだ」という話をしていたのだ。
まさるは、「へへへ。。」とはにかみながら
「90点!」と答えた。
「おおお!やったやんけー」
馬淵さんは、口の中のご飯粒を飛ばす勢いで喜んでくれた。


【※10 応援してくれる人、褒めてくれる人がいる環境】










興奮が収まると、馬淵さんは真面目な顔をして続けた。
「結果じゃないねん。まさるが努力したのがうれしい。
がんばるってのは、大変やし、めんどくさい。
けれど、がんばった人にしかもらうことが出来ひんご褒美があるんや。
テストの結果がいつもよりも気になったと思うし、
点数見たときの喜びっていつも以上やったやろ?
仕事も同じや。しんどいし、ぎょうさん怒られる。
腹立つ上司もおるし、全然仕事ができひん部下もおる。
でも、たまに仕事がうまくいくことがある。
そんときは、全て忘れるくらいうれしい。
いつもクレームばっかりのお客さんが、たまに褒めてくれるときとかもやな。
それがあるから、毎日仕事がんばれるんや。
勉強なんて意味わからへん。ってなるのはわかる。
でも、やったらそれだけ返ってくるねん。
そんなことが、少しでもわかってくれたらおっちゃんうれしいわ」
いつも、明るくて
みんなを楽しませてくれる馬淵さんが真面目に話していることも驚いたし、
すごく自分のことを想っていてくれているだとわかってまさるはうれしかった。


【※11 見守ってくれていると実感出来る雰囲気】
ここにいる人たちは、結果にこだわらない。
馬淵さんもよく
「結果ちゃうんや。敵は過去の自分やで」
なんてカッコいいことを言っている。
学校や家では、点数で褒められたり怒られたりすることが多い。
なにも勉強していないのに、良い点数で褒められると、なにか複雑な気分だった。
でも、最近はお母さんも努力を褒めてくれるようになった。
家に帰ると、うれしそうに
「今日は、なにしたの?」と聞いて、
ニコニコしながら日記帳を見ている。
初めの頃は、
「宿題 計算ドリル 46~48」とだけ書いて、
横に「がんばってやった」としか書かなかった。
けれど、この頃は
「引き算が苦手じゃなくなってきた。計算も少し早くなったかも!?
時間を計ってやると、なんかゲームみたいで楽しいぞ!今日もがんばった!」
などと感想を詳しく書くようにしている。
そんなことも毎日書いていくと、
自分もやったという気になるし、
お母さんも毎日の成長が見れてうれしそう。
たとえ、テストの点数が芳しくなくても
「毎日ガンバってたのになぁ。なんでやろうなぁ」
などとお母さんが励ましてくれるようになった。
【※12 子どもの成長を見ることができ、親の愛情を感じられる仕組み】




今までまさるは、自分にはなにも出来ないと思っていた。
自分で「パッとしないな」と感じていた。
スポーツが出来るわけでもない。
顔が良いわけでもない。
勉強が特別出来るわけでもない。
おもしろいことを言えるわけでもない。
出来ないことばかり考えていた。


けれど、ここへ来て
自分が出来ることってたくさんあるということを知った。
小さい子たちは、まさるを頼ってくれる。


以前、中島さんが洗い物をしているのを手伝ったら
「ありがと。まさるくんは、優しいね~」と褒められた。


出来ないこともいっぱいあるけれど、
出来ることもそれと同じくらいあるってわかった。
自分に自信がなかったけど、誰かの役に立てることによって、
『必要とされている』と感じられることがうれしい。
【※13 自分を必要としてくれる人がいると感じ、自己肯定感を育む】


今までは、学校へ行くまでの挨拶は友達だけだった。
でも、今は違う。
中島さんが玄関を掃除していたら、「おはようございます」と挨拶する。
すると、「今日、テストガンバってね」と声をかけてもらえる。
道路でふざけていると、
「危ないぞ!」と村下さん(見た目は怖いけど、実は優しいおじいちゃん)
に叱られたこともある。
大人の人たちが、僕らのことを見守ってくれてるって感じられる。
【※14 地域で子どもを育む環境】



ここには、
馬淵さんをはじめ仕事をしている人もたくさん来る。
ご飯のとき、仕事の話を聞くのがまさるのお気に入り。
馬淵さんに出会わなかったら、
”しすてむえんじにあ”という仕事なんて知ることなかった。
仕事の大変さ、おもしろさも聞けなかった。
今まで将来のことを考えることなどなかったまさるも、
こうやって仕事の話などを聞いていると
「どんなことしたいかなぁ」と自然に考えるようになった。
でも、すぐにやりたいことなんて見つからない。
馬淵さんは、
「やりたいことなんて、やってみなわからんのやー」といつも言っている。
なにがしたいかなんてすぐ見つからない。
まずは、ゆうじのように
みんなから頼られる存在になりたいなとまさるは思う。
出来ることからやっていけば、近づけるんじゃないかなと
周りのみんなを見ていたらそう思える。


『そうだ。馬淵さんにパソコンを教えてもらわなきゃな』
と”ガクカフェ”の窓から見る2年目の桜を見てまさるはふと思った。


【※15 (自然に)将来を考える機会がある】